黄熟香(蘭奢待)
(正倉院宝物 写真提供:宮内庁正倉院事務所)

黄熟香(蘭奢待)切り口
切り口に付された付箋には、右から順に「足利義政拝賜之処」「織田信長拝賜之処」とある
(正倉院宝物 写真提供:宮内庁正倉院事務所)

黄熟香(蘭奢待) おうじゅくこう(らんじゃたい)

東大寺正倉院中倉に伝わる伽羅の香木。長さ156cm、重さ11.6kg。正倉院の目録には「黄熟香」として記載される。「蘭奢待」の字には「東大寺」の三文字が隠されているため、別名を「東大寺」ともいう。聖武天皇によって蘭奢待と命名されたと伝わるが、そもそも日本に渡来したのは時代の下る10世紀頃とされる。香木とは主に樹脂が集まって凝結した物質を指すが、蘭奢待は朽ち木の表面を樹脂が覆ったものであり、香りの劣る中心部は意図的に削られて空洞になっている。古来、足利義政・織田信長・明治天皇など、時の権力者によって切り取られてきた。しかし実際は彼らだけではなく、東大寺関係者などにより50回以上切り取られたのではないかと推測されている。