地図で見る 庁中漫録

古文書「庁中漫録」には、江戸時代の大和国内の地理や町の様子を知ることのできる貴重な記録があります。
このコーナーでは、内容をさらに深く理解するため、江戸時代の古地図に記載される各地が、
「庁中漫録」でどのように説明されているのか見ていきましょう。現在の奈良の姿と大きく異なるところ、
まったく変わらないところ。新たな発見があるかもしれません。

大和・奈良が描かれた古地図と地誌
江戸時代になると、旅の大衆化にともない、地図は庶民の間にも普及していきました。
人々は、伊勢参りや西国・四国巡礼を目的としつつ、さらに奈良や京にまで観光を目的として足をのばすようになりました。
庶民の旅への憧憬は、隆盛を誇った江戸時代の出版文化と深く結びつきました。
大和国や奈良町を描いた地図の出版は、観光地としての大きな需要を背景とするものでした。
東大寺大仏前の絵図屋(筒井)庄八がその多くを手掛けたことが知られるほか、周辺地域の出版業者のなかにもそれに関わる者があらわれました。

一方、文章の形式をとって詳細な情報を伝えることに主眼を置いたのが地誌です。
江戸時代に出版された地誌は、多くの挿画によって読者の視覚にうったえるという新たな試みがなされます。
その代表が、秋里籬島が著した各地の名所図会でしょう。そのうち大和国を題材とした「大和名所図会」も有名です。

「庁中漫録」に収録される、大和国の名所や奈良町に関する記述も地誌に分類されます。
江戸時代の人々に思いを馳せて、当時の「旅」と「読書」を同時に体感しましょう。


参考文献
・室賀信夫『古地図抄―日本の地図の歩み―』(東海大学出版会,1983年)
・矢守一彦『古地図への旅』(朝日新聞社,1992年)
・奈良大学総合研究所『奈良大仏前絵図屋筒井家刻成絵図集成』(2002年)
・奈良国立博物館『古地図を読みとく』(2004年)

地図をクリックすると詳細が表示されます。



『奈良まち編』

奈良大学所蔵:天保十五年五月版 和州奈良之図
(奈良大学総合研究所『奈良大仏前絵図屋筒井家刻成絵図集成』)

『大和国編』

奈良県立図書情報館所蔵:大和国細見図(安永版)



庁中漫録

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